すり減ったおろし金

ひとりよがりゲームプレイ記

『第3次OG』と『J』 (後編)

原典の台詞を再確認していたらえらい期間が空いてしまった…
申し訳ない。後編です。

フューリーとの混血

重要度:

 統夜はフューリーの騎士、エ=セルダ・シューン
地球人女性との間に生まれた混血児である。

 

一方、こんなセリフがある。

 

フー=ルー
「我々にとって地球の生命がこのような
 進化をすることは予想外だった。
 もう全て滅ぼすしかないと結論したの」 

(第 46 話「破滅への扉」より引用)

 

ちょっと待て。

 

予想外に発生した種族と
どうして交配できるんだ?

 

 戦火で人口が減ったから
交配の相手として地球人を創造した、
という可能性もあるが……

 

 前回でも触れたが、フューリーはまだ124万人もいるのだ。
地球人を作る必要はないだろう。

 

 なにより、フューリーの目的は地球へ移住することなのだ。
移住の障害になる知的種族なんか創造するわけがない。
だからこそ、先のフー=ルーの発言なのだろう。
  もし最初から人類を予定して作ったのなら、地球の「生命」ではなく地球の「人類」と言うはずだ。

 

 まさか
「異星人との混血なんてロボットアニメではよくあるからいいじゃん」
で済ませよう、なんて言わないよね?

昔のアニメならともかく、
現代でそれは都合が良過ぎるぞ。

 

 ちなみにゾヴォーク
『OG2』で地球人とルーツが同じかもしれない
ということをユウキ・ジェグナンが推測している。

 

 ゼ・バルマリィは『第3次α』で語られた通り、
元々は地球発祥の種族で、地球人とは同種である。

 

 この2種類の異星人は地球人との類似の理由が説明されている。
(今のところ彼らとの混血というキャラはいないが)
でも、フューリーには一切説明がない。

  

継承メカニズム

重要度:

 統夜はストーリーの中で何度となく激戦を潜り抜け、成長していった。
そうするうちに、フューリーの記憶がフラッシュバックしていると思われる場面がいくつかある。

 

ガンダムSEEDルートを通った場合

統夜
「そんな事にはなってないよ。
 オルファンが原因で人類が滅びることは無い」

(第 49 話「憎悪の果て」より引用)

 

この場面ではサイトロンによって未来を垣間見た?
らしく、状況が判然としない状況の中で、
オルファン側の問題が上手く解決されたことを知っている。

本人は「何となくそう思った」ということだが。

 

ブレンパワードルートを通った場合

統夜
「光…」
アキト
「え?」
ミナト
「光がどうかした?」
統夜
ジェネシスのイメージなんだけど。
 巨大な光、みたいな物なんじゃないかな」

(第 49 話「憎悪の果て」より引用)

 

こちらではジェネシスが具体的にどんな兵器なのか、
これまた直感的に理解している。 

 

ちなみにカルヴィナでも台詞は同じ。

 

 また別の場面では、時を止めて連合軍兵士を一方的に虐殺し、
さらに三人娘を実験体扱いで嘲笑するジュア=ムに対し、
統夜が次のように一喝する。

 

統夜
「黙れ! 騎士の風上にも置けぬ者、ジュア=ム・ダルービ!
 武名を恥で汚す前に、我が剣でヴォーダの闇に帰してやる…
 覚悟!」

(第 50 話「百億の夜と千億の闇」より引用)

 まるでフューリーの騎士そのものの発言。
このシーンは実に恰好よく、統夜の見せ場と言える場面だ。

 

だがしかし。 

統夜はどうやってフューリーの知識に目覚めた?

 

  1. 主人公の機体に父親の記憶のバックアップがあった
  2. サイトロンを通じて記憶を受け継がせた
  3. フューリーは超常的な力で記憶を継承させることが出来る種族

 どれなんだ?

 本編中にその説明はない。

 なお、終盤ではシャナ=ミアが三人娘を中継としつつ、
カルヴィナにアル=ヴァンの記憶を渡す、というシーンがある。

 

メルア
「従兄様が愛された女性、カルヴィナ…」
フェステニア
「その想いの一部をお渡しします。
 あなたに受け取って欲しいから」
カルヴィナ
「え、何? この記憶…アシュアリー・クロイツェル!?
 あの時の、私…! ア、アル=ヴァン…
 そ、そんな…アル=ヴァン…!」

(第 50 話「百億の夜と千億の闇」より引用)

 

この描写を見ると、どうやら2か3が正しいようだが…

それはそれで、もう何でもアリの種族ではあるが。

 

キレやすい人たち

重要度:

 

ジュア=ム
「アル=ヴァン様が…
 くそ、あいつのせいで…あいつのせいで…
 あいつの、あいつの、あいつの、
 あいつの、 あいつの、あいつの!!
 くそーーーっ! 殺してやる、必ず!」

(第 40 話「すれ違う運命」より引用)

  

グ=ランドン
「さあぁせぇぬううう!
 ヴォオオダの闇にぃぃ、帰る、
 邪ぁ魔ぁはぁぁぁ!!」

(最終話「冷たい世界 後編」より引用)

グ=ランドン
「絶望せよぉおおぉをを!」

(最終話「冷たい世界 後編」戦闘中台詞より引用)

 

… 率直に言おう。

なぜこうもメンタルが弱い?

 

 敵組織にも、一人はこういう者がいてもいいだろう。

が、二人は多過ぎる。
ましてやラスボスがこれでは、威厳も何もあったものではない。

 

 キャラを立てたいなら、グ=ランドンが当時の大戦でいかに苦渋の道を歩んだか、
といった過去を掘り下げた方がよいのではないだろうか?

少なくとも、付け焼刃の狂気キャラに仕立て上げるよりは有益だったはずだ。

 

 ジュア=ムの方は、元々が「軽薄で残忍」
というキャラなので、まあこれでもいいか……。

 

どこかでお会いしました?

重要度:

シャナ=ミア統夜はどうやら幼馴染の関係であるらしい。

これは

スーパーロボット大戦J ザ・コンプリートガイド』
(2005年:メディアワークス発行)

スーパーロボット大戦J パーフェクトバイブル』
(2005年:エンターブレイン発行)

といった攻略本に明記されている。

 開発サイドから出版元へ資料・設定が回って来ているのは
確実であるから、これは公式の設定と見てよいだろう。

 

が、この設定には疑問が残る。

 

統夜
「母さんは5才の時に、父さんは4年前にな。
 だから何があっても聞きようがない。
 言っとくけど、本当の親だぞ。
 父さん月で仕事してて年に1回くらいしか帰ってこなくてさ。
 母さんが死んでからずっと他所に預けられててね。
 不安になって調べたことあるんだ」

(第 20 話「「真実」は一つじゃない」より引用)

 

 これを見る限り、母親が亡くなる前に会っていたのだろう。

 5歳より前なら、シャナ=ミアのことを覚えていなくても不思議ではない。

しかし……

 

どこでシャナ=ミアと統夜は出会っていたのか?

 

 シャナ=ミアは高貴な生まれで、しかも当時はまだ幼少のみぎり。
地球で暮らしていたとは考えにくい。

 父に連れられて統夜が月へ行ったと考えるべきだろう。

 

 しかし……フューリーの本拠地へ地球人が入れるのだろうか。
いくら英雄エ=セルダの息子で幼い子供とはいえ、
とうてい許可されない気がするのだが……

 

 それにこの頃はまだ母親が存命である。
統夜エ=セルダに任せたまま長期間離れているというのも考えにくい。
統夜の月への滞在はごく短期間にとどまったと考えられる。

 

 それでは幼馴染とは呼べないのでは……?

 少なくとも数年間は環境を同じくして暮らし、
気心が知れた仲でなければ幼馴染とは言わないだろう。

 

うーん……考えれば考えるほど矛盾が出て来る。

 

 そもそも幼馴染だったからと言って、それが
ストーリーを動かし始める起点になったり、
意外な伏線になったりするわけではない。

 

 要するに死に設定なのだ。

 捨てた方が賢明ではないだろうか。

 現に本編には出てきておらず、無難な判断だったように思える。

 

無防備な寝姿

重要度:

 フューリーは単に地球の環境が整うまで
40億年も待っていたわけではないらしい。
フランツ・ツェッペリンのAIはこう述べている。

フランツ
「彼らは太古の異星文明に置いて戦争状態にあった。
 それに敗北したために、ここに来て
 時をやり過ごしたのではないか」

(第 50 話「百億の夜と千億の闇」より引用)

 

  一見もっともな話だ。だが……

 

 ラースエイレムで時を止めた物体は破壊可能なのだ。
ゲーム中でプレイヤーはそれを何度も見ている。

 

時間を停止しても防御策にならないのでは?

 

 むしろ、相手から見れば絶対に動かない格好の的なのだが。

 よく停止中のガウ・ラ=フューリア
敵の追っ手に見つからなかったものだ。

 

(多分ガウ・ラ=フューリアも時間停止をしていたはず。
 そうでなければ40億年も人工物が存在できるとは思えない)

 

謎の動力

重要度:

 主人公機も含め、フューリーの機体は
オルゴン・エクストラクターという動力源で動いているようだ。

 

この装置が動力源である点については

 

アル=ヴァン
「残りは6機か。サイトロン・サイティング終了。
 オルゴン・エクストラクター出力上昇。
 ラースエイレム駆動開始」

 

メルア
「エクストラクターの出力を臨界まで上げます。
 統夜さんは、あの手前の機体に意識を集中させていてください」

(第 10 話「闇の胎動」より引用)

 

こういった台詞から見ても間違いないだろう。


が、

 

オルゴンとは何なのか。
オルゴン・エクストラクターとはどういう仕組みなのか。

 

こいつに関する説明が最初から最後まで一切ない。

 

 そりゃあ、バンプレストオリジナルには
正体不明だの永久機関だのはゴロゴロしているが……
説明しなくていいと言う理由にはならない。

 

 存在感の薄いターミナス・エンジンだって『MX』でも
『第2次OG』でも最低限の説明はあった。

 

 レース・アルカーナですら、
「原理はわからないけど人間がいないと動かない」
という説明はあったというのに。

 

 エクストラクトという単語から推測すると、
空間か搭乗者本人か、そのどちらからか「オルゴン」という
エネルギーを抽出して稼働しているようだが……

 

 これ自体はさして問題ではないのだが、
あとで述べる疑問点に少し関わってくる。

 

危機だけど危機ではない

重要度:

 

最終話において、こんなセリフがある。

シャナ=ミア
「数百万の同胞の時を止めている内核部、ステイシス・ベッド。
 そこは、最もエナジーを消費している箇所でもあるのです。
 もしあの者が、艦全てのエナジーを一度に使うつもりなら…」

(最終話「冷たい世界 後編」より引用)

 

 シャナ=ミアの予感は的中し、追い詰められたグ=ランドン
ガウ=ラ・フューリアの全エナジーを集め、機体を再生させる。

 このまま放っておいてはフューリーの民が死んでしまう、
という一見すると危機的な状況なのだが……

 

 このステイシス・ベッドはあくまで時を止めているのだ。
冷凍冬眠装置ではない。

 

 時を止めている装置のエネルギーが停止するなら、
時が動き出すだけで
生命に危険なんてない。

 

 ステイシス・ベッドがある区画は与圧されておらず、
時が動き出すと窒息死が待っている、という前提なら辻褄は合うが。
そんな設定はもちろんない。

 

 もしサイトロンが生命活動にも影響を及ぼすという設定なら、
第10話で一度時間停止攻撃を受けている甲児、アキトやリョーコ、ムウにも
何らかの変調が起こっていなければおかしい。

 

 それどころか、これは非常に危険な設定だ。
サイトロンを吸い上げて周囲の生命体を殺せる」という、
時間停止以上に問答無用の無敵設定となる可能性すらある。

 こんなものを安易にシナリオに登場させるのはとてもまずい。
対処しようがないからだ。

 

 『J』は途中でライターが交代した可能性が非常に高く、
このシーンも設定の勘違いで生じたミスだと思われる。
OGでこれを再現するとしても間違いなく修正が入るだろう。

  

サイトロンの謎

重要度:

イネス
「この世界には過去から未来へ進む波動と、
 未来から過去へと進む波動がある。
 通常はうち消される過去への波動だが、
 うち消されない未知の粒子による波動、
 レトロスペクトが存在する…
 木原マサキの、次元連結理論の前提でもあるわね」

(中略)

イネス
「物体が瞬間移動するボソンジャンプは、
 一見、相対性理論光速度不変の法則も
 無視しているように見えるわ。
 だけど、空間移動は見かけ上で、実はレトロスペクトによる
 時間移動だったとしたら、少なくとも理論的には可能なの」
カティア
「もしかして、フューリーの使うサイトロンシステムも…」
イネス
「同じ理論に基づいたテクノロジーだと思われます」

(第 45 話「たった一つの「冴えたやり方」?」より引用)

 

 これを見れば、サイトロンがレトロスペクトであり、
未来からの情報を過去へ持ってくる媒体であることが考えられる。

 

(ただし、よく見るとこれはイネスの予測であって、
 確固たる回答は結局ストーリー中で提示されなかった。
 さらに言えば、これが次元連結理論の前提であるという設定自体
 スパロボオリジナルである上、この場に来て伏線もなく
 唐突に明かされていることを明記しておく)

 

 ともあれ、アル=ヴァンがたびたび先を見越したような発言をするのは、
サイトロンによって未来を見ているからであろう。

 

 それ自体に問題はない。が、

 

第 51 話「冷たい世界(前編)」

シャナ=ミア
「私達の母艦は、月の中核にあるのです。
 そこで起動し、出力を増大させたとき、月はおそらく…
 外殻が引き裂かれ、強力なサイトロン・エナジーが
 大地の表面を宇宙に飛散させるでしょう」

 

第 51 話「冷たい世界(前編)」

シャナ=ミア
「ガウ・ラのサイトロンエナジーが、流れを変えたようです。
 末端の流動が途絶えて、中心部に向かっているような…」

 

最終話「冷たい世界(後編)」

シャナ=ミア
「ステイシス・ベッドの…
 同胞達の時をつなぎ止めるエナジーが、
 逆流して流れ込んでいる…
 グ=ランドンは母艦と同化して、
 艦の全エナジーを集めようとしています!」

 

「未来から過去へ進む波動」であるはずなのに、
途中から単なるエネルギー扱いになっているのは
どういうことなのか?

 しかも前回でも触れたとおり、
いつの間にか原子に変換できる性能まで付け加えられている。

 

 その役割を果たすべきなのはオルゴンだろう。
戦闘で散々結晶化するのを見ているわけなのだから。

 

 こうなってくると、シナリオ上で与えられた
「物質化できるエネルギー」という特性が
オルゴンサイトロンとで重複している。

 

これならオルゴンという設定は必要ない。
動力源はサイトロン・エクストラクター
武器名も全部サイトロン○○で済む話だ。

 

つまり設定に無駄があるのだ。 

 

 更にもう一つ。フューリー機はオルゴン・クラウドという
テレポート・バリア能力を複合した特殊能力を持っている。

 

 イネスの解説に従うのなら、機体をレトロスペクト、
つまりサイトロンに変換し、目標地点で再構成しているのだろう。

 

 が、能力名はオルゴンクラウドなのだ!
オルゴンなの? サイトロンなの? どっちなんですか!

 

 ラストステージで登場するユニットとしての
オルゴン・エクストラクターも同じ。 

 

 グ=ランドンの乗機にサイトロンエネルギーを供給する中継機なのだが、
名称はオルゴン・エクストラクターなのだ、

 

 オルゴンなの? サイトロンなの? どっ(略

 

 ただ、前半のサイトロン
ラースエイレム発動のターゲットを決めたり、
未来の情報を見せると言う役目しか持っていない。

 

 設定が不統一なのは、やはりライター交代の影響と思われる。

 

(実を言えば「ライターの交代」という説に確固たるソースはないのだが、
 キャラの口調や二人称が唐突に変わる、地名や単語名のミスが
 中盤から急激に増えるといった現象が確認されており、
 交代説は可能性が極めて高い)

 

エ=セルダ・シューンは何のために地球へ?

重要度:

 彼もフューリーの地球移住計画の準備を行うために
地球圏へ送り込まれたのだろう。

 

 最初から内心では計画に反対していたのか、
それとも地球人と暮らすうちに心情に変化があったのか、
どちらかは不明だけれども。

 

 説明はされていないけど想像は出来るレベルなのでさほど問題ではない。

 

後継機の扱い

重要度:

 『J』は「攻略本に記された設定と本編で食い違いがある」という例が多い。

 

 例えばグランティード・ドラコデウス
攻略本ではこのような解説がある。

 

グランティードが窮地に立たされたとき、
突如として現れた竜のロボットが合体して誕生したとされる機体。

 

 本編にそんなシーンはない。

 本編中の扱いはこうだ。

 

フランツ
「質問に答える。
 〔主人公機名〕には、開発中の強化ボディが存在する。
 アシュアリー・クロイツェルからモルゲンレーテに移行され、
 完成されているはずだ」

(第 39 話「消えない灯火、消える命」より引用)

 

 この後、普通に乗って出撃するだけ。

 

 

 クストウェルの場合。

 

フューリーで開発されていたオリジナルのクストウェル。

 

 本編でそんな設定はない。

 本編中の扱いはこうだ。

 

フランツ
「質問に答える。
 〔主人公機名〕には、開発中の後継機が存在する。
 アシュアリー・クロイツェルからモルゲンレーテに移行され、
 完成されているはずだ」

(第 39 話「消えない灯火、消える命」より引用)

 

 ……開発中の「強化ボディ」が
「後継機」に変わった以外は使いまわしである。

 

 ただ、『OG』に参戦するとしても、
3機全部を登場させ、それぞれの後継機に
個別の見せ場を作るのは非常に手間が掛かるだろう。
シナリオ的にも、アニメーション的にも。

 

 個人的には3機のうち最も不人気な
クストウェルが登場しないのでは……と思っている。

 

 隠し機体の青いラフトクランズも加わると
さらに手間が増えるが、個人的には統夜には
この機体が一番似合うように思える。

 父親の機体を回収、修理して使ったもの、
という設定で出ないものだろうか……?

 

人が変わった?

重要度:

『J』作中では、キャラの性格にも不統一感がある。
カティアを例にとってみよう。

 カティア
「仕方がないで済むことではないわ。
 私たちはあんな無茶をしていい状況じゃないのよ」
統夜
「そうだけど…」
カティア
「私たちは彼らと戦わなければならないのに、
 彼らと接触してから逆にあなたはどんどん変わっていく。
 私は…それが怖い」
統夜
「勇を見捨てればよかったっていうのか」
カティア
「違う。違う違う! 援護ならできたわ。
 確かにそれじゃあの人は止められなかったかもしれない。
 でもユウの盾になってグランチャーの前に
 飛び込むことはなかった!
 〔主人公機名〕が破壊されてしまったらどうする気なの!?」

(第28話「カーテンの向こうで」より引用)

 

 前半はこんな感じ。
統夜とは同年代の女の子という印象の会話をしている。

 「このシーンでは感情が高ぶっているので口調が違う」
というわけでもなく、他の日常場面でも同じ感じだ。

 

一方後半。

 

カティア
「統夜」
統夜
「うわっ!」
カティア
「何してるんですか」
統夜
「カ、カティア?
 いや、別に…様子を見に来ただけだよ」
カティア
「見え透いた嘘、やめてください。
 統夜、一人で行こうとしてましたね」
統夜
「え?」
カティア
「単独で侵入して、ガウ・ラの中区を壊したら、
 それで全部終わるからって」
統夜
「よ、よせよ。何でそんなこと…
 俺一人で行ったって、危険なだけじゃないか」
カティア
「……」
統夜
「だいたい、何で俺がそんなことしなきゃならないんだ?」
カティア
「統夜の考えることくらい、わかります。
 統夜、正直すぎますから…
 うまく行けば、みんなが戦わなくてすむ。
 できれば、他のフューリーも巻き添えにしたくない。
 違いますか?」
統夜
「…ええと…」
カティア
「どうなんですか!? 答えて!」
統夜
「まいったな、お見通しか。ごめん、カティア。
 うそはつけないや…怒った?」
カティア
「はい。ものすごく」

(第51話「冷たい世界 前編」より引用)

 

 口調が異なるのがお分かりだろうか。

 後半は「マスターに付き従う従者」、
あるいは「育ちのいいお嬢さん風」なのだ。

 

 「打ち解けて態度が変わる」ということはあるが、
心を開いたら ですます口調 になるというのはおかしいだろう。

 

 特にオリキャラというのは、
考案した作者の頭の中にしか正しいキャラ像がない。
 他人と作業をする場合、伝達が上手くいかないと
こういった齟齬が発生してしまう。

 

 こういう点も、ライターが交代したという証拠だと
自分は考えている。

 

 ちなみにカルヴィナの場合。
彼女はファーストネームで呼ばれることに強い拒絶を見せている。

 

カルヴィナ
「あたしはもう少尉じゃないと言ったはずよ」
ムウ
「そう怒るなよ。
 そっちの方が呼びやすいんだから、
 つい出ちまうのはしかたないだろう。
 じゃあカルヴィナとでも呼ぶかい?」
カルヴィナ
「ッ!」
ムウ
「どうした?」
カルヴィナ
「…絶対にやめてください。冗談じゃないわ」
ムウ
「そこまでいうことはないだろう」
カルヴィナ
「あたしをそう呼んでいいのは1人だけよ」
ムウ
「ふうん、恋人か。今はどこにいるんだ」
カルヴィナ
「…いないわ。もうどこにも」
ムウ
「…そいつは悪いことを聞いちまったな。すまん」

(第 10 話「闇の胎動」より引用)

 

 見ての通り、それはアル=ヴァンを思い出すからだ。

(戦闘中は三人娘からファーストネームで呼ばれてしまうが、
 これは主人公が統夜である場合に合わせたのだろう。
 2人の主人公で違う戦闘台詞を用意する余裕はなかったようだ)。

 

 ここでもカティアを例に見て見よう。
 彼女に限らないが、三人娘はカルヴィナのことを
「クーランジュ」とラストネームで呼んでいる。

 

カティア
「クーランジュさん、あれはまっすぐ私たちを狙っています。
 あれが何だとしても、敵であるのは間違いないわ。
 間違いなく攻撃してきます」

(第5話「変転する運命」より引用)

 

カティア「クーランジュさん…?」
マリュー「ど、どうしたのクーランジュ」

(第33話「対決! デビルガンダム軍団!」より引用)

 が、

 カルヴィナ
「ふふ…」
カティア
「カルヴィナさん…」
カルヴィナ
「なに?」
カティア
「楽しそうですね。
 カルヴィナさんが笑ったの、久しぶりです」

(第34話「真実の侵略者」より引用)

 

34話を境に突如として「カルヴィナ」と呼び始めている。

ここでは、特にカルヴィナの心情が変わるような事態があったわけでもない。
それどころか直前の33話では、ようやくフューリーと呼ばれる勢力の一端が
垣間見えたことで、カルヴィナはむしろ神経質になっているはずなのだ。

 

 これもやはりライター交代の強力な証拠だと考えられる。

終わりに

 ご覧のように突っ込みどころは数多い。

今となっては10年前のテキストだが、当時でも突っ込まれたものだ。

何が言いたいのかというと……

 

問題だらけなので、
参戦させるには根本からテキストを変える必要がある。

 

ということだ。

 間違っても原作再現だけをしていればいいような出来ではない。

『ダークプリズン』のように、かなりの変更を行わなければ
シナリオとしては厳しいだろう。

 

 これらの諸問題をクリアし、『J』がまっとうに参戦し、
きっちりキャラと絡んでくれることを切に望む。